ほとんどの人はこの事を素直に信じない。そう思うのも無理はない。多くの人が中学の3年間、高校の3年間と英語を学び、大学に進んだ人ならさらに数単位を勉強します。
そんな一般的な人でさえ、合計6年以上も勉強してたのに外国人に「ハロー」とさえ、堂々と言えない。さらに相手が何を言っているのか分からない。
まったく英語が使えないのだ。第2外国語なんてなおさら意味がない。
悲惨な状況である。まったくの時間の無駄である。
このことを身をもって体験しているからこそ、冒頭のフレーズは嘘だと受け取る。
しかし私は確信をもって言う。
英語に才能は要らない。
なぜそのような事が言えるのか。
それは・・・
あなたが今こうして、この記事を読むことができているからだ。
あなたは日本語を読むことが出来ている。そして、おそらく声に出して読むこともできるだろう。
そうなのだ。あなたは日本語を読んで話すことが出来るのだ。
英語も同じである。
英語に才能は要らいない、ということをあなた自身が証明している。
大事なのは、どのような環境に身を置くかである。
私には二人の子供がいます。どちらも小学生で二人とも日本語を話します。子供は親と過ごす間に自然と言葉を覚えます。
私は特に何かを強調して日本語を教えたことはありません(これが普通だと思っていますが)。
ただ一つだけ気を付けていたことがあります。
それはいわゆる「赤ちゃん言葉」を使わなかったことです。大きくなったら普通の日本語を話してほしいのに、一番、脳が活発な時期に赤ちゃん言葉を聞かせていたらマズいでしょう。小学生にもなって「だってね、わたちね、おなかが空いたんでちゅ。」と言われたら、さすがに引きますよね。だから私は彼らが小さいころから、普通に話しかけるようにしていました。
ここで私は一つ、面白い実験をしました。
それは「ビデオ」ではなく正しい発音のほうの「ヴィーディオ」を教えたんです。
子供が小さい頃は、みなさんよくカメラで写真や映像を撮りますよね。気が早いですが、私は年を取ってリタイアしてから、自分が見るために子供たちの映像を残そうと思って撮りためています。その映像には、まだ覚えたての言葉を話す子供が映っていました。
「ヴィーディオ(VIDEO)」です。
この言葉を覚えた長男がビデオ映像の中で「ヴィーディオ」と連呼しています。なんの疑いもなく「ヴィーディオ」と言っているのです。
見ていて無茶苦茶おもしろいです。爆笑です。
刷り込み1)、というやつですね。生まれたヒナが初めに見た動物を親だと思う様に、言葉も教えることが出来るだろうと思って実験したんです。
見事はまりました。いやー、やれば覚えるもんですね。実に面白い。
では大人ではどうか。
脳には「可塑性」という性質を持っていると言われています。私は脳の専門家ではないから、詳しい説明はできませんが、端的に言うと「脳は環境から受ける刺激を処理できるように(呼応するように)変化しつづける。」といったところでしょうか。
つまり脳は「固定」されておらず、常に変化しています。脳は止まりません。ある意味寝てません。
環境から受ける刺激は無数にあるように思います。視覚、聴覚に代表される器官からの複雑に絡み合った刺激を脳は受け止め、処理します。
いいかえると大人になっても、脳は変化し続けると言うこと。
すなわち「こうなりたい」と思う様に、自ら理想とする環境に身を置くことで英語脳にすることが出来るのです。
今、私も実践しています。
身の回りの物を 日本語 → 英語 と訳さずに最初から、例えば「APPLE」と思い浮かべ、声に出して話す。
次に、最初は短くてもいいから、文章にします。「I eat an apple」(アイイータンナッポー)。
間違いを恐れる必要はありません。日本に来た外国人がつたない日本語を話していても、あなたは笑ったりすることはないでしょう。
何とか聞いてあげようとするでしょう。その逆もしかり。下手な英語でも構いません。声に出して言うだけです。周りの目が気になる時にはひっそりと。
話は少しずれますが、昨年、付き添いでwebによる国際会議に出席しました。(私も5分ほど英語でプレゼンしましたが、会話はできないので議論は上司に任せてました。。)
英語を母国語とする人は出席しておらず、フランス人、中国人、ロシア人が英語を話しているのを聞きました。
たいして上手じゃありません。
もちろん日本語よりは語源が近しいフランス人などは、訛ってたとしてもスラスラと話せるかと思いますが、大したことはありません。
そんなもんなんですよ。
和訳を挟まずに、最初から英語でイメージトレーニングをしてください。そして続けてください。無理にやる気を出す必要がありません。ひっそりと続けるんです。
続ければある時「Aha moment」がくるでしょう。
突然、英語で話す夢をみるでしょう。
それが英語脳です。
そのような環境に身を置くことであなたも英語が話せるはず。
何の心配もいらないし、流ちょうに話そうとする必要もない。
小さいことを「続ける」だけでいいんです。
大した事はない、と思い続けましょう。
まあ偉そうに言ってますが、これは私自身に言い聞かせているんですけどね。
1)KONRAD LORENZ/動物行動学Ⅰ・Ⅱ